現在、某仮想通貨取引所の遅延が大きくなったという話が、Twitter界隈を賑わしている。取引所のメンテナンスに伴ってスケールダウンしたのではないか?なんて話も聞こえてくる。真相はわからない。

遅延の影響

たった数秒の遅れとも言えるが、HFT(高頻度取引)のように素早く板の出し入れを行っているMaker Botには、それは途方もない遅れだろう。

例えば、5秒間隔で出し入れするMaker Botがあって、取引所からのデータ配信に5秒の遅延が発生していた場合、どうなるだろうか。

板をひっこめるはずの時間にようやく板が出されるというような状況だ。これでは、全く何かを計算し予測して板を出した意味がない。せっかくはじき出した優位性を、ランダムウォークの海に投げ捨てるようなものだ。

遅延とどう向き合えばいいか

とはいえ、仮想通貨相場では、株式相場のようなコロケーションも存在せず、そもそもインターネット通信自体にもいくらかの遅延がある状況において、我々はどう遅延と向き合えばいいのだろうか。

結論から言うと、長い時間スパンで取引するしかないものと思われる。数秒の遅れがあまり影響のない程度の時間スパンで相場を眺めるしかないように思える。

1分足と1時間足(くろまランドより)
1分足と1時間足

例えば、取引所に5秒の遅延があった場合、1分足で見ると5/60=8%強の不確定要素が入ることになる。しかし、1時間足なら5/3600=0.1%強の不確定要素にまで落とすことができる。

この、8%強が小さいか大きいかは一言では言い表せないが、この間に大きく相場が動く場合、たった8%でも非常に大きいだろう。

例えば、5秒の遅れとは?

ここで5秒の遅れがどの程度影響があるか見てみたいと思う。ここでは取引所からのデータ配信が5秒遅れた場合について見てみる。

以下はある日のTickデータから単に1分足を出したものと、5秒のデータ欠損におけるデータを比較してみた。

OHLCの差異率(%)
OHLCの差異率

始値は、データが遅れても変わりない。高値、安値はところどころ変化し、終値が著しく変化してることがわかる。

よく、皆さんは取引する際に、移動平均をはじめとしたその他もろもろの指標を使うこがあると思う。通常それらの指標は終値を使って計算するが、データの遅れはまさに指標にもろに影響を及ぼすことになるだろう。

ちなみに、差異率の絶対値の平均は、

始値 高値 安値 終値
0% 0.0025% 0.0025% 0.015%

という結果であった。これだけを見ると小さいように見えるが、例えばビットコインで見るに0.0155%は、1BTC=100万円に対して155円程度である。

最も、平均によって一つの傾向は見えるが、実際利益を考えるに、最大値の部分を見過ごすわけにはいかない。平時にどんなに利益を上げたところで、大きく動くときに失うってしまうのは、あまりにも大きすぎる。差異率の絶対値の最大は、

始値 高値 安値 終値
0% 0.07% 0.17% 0.18%

となる。先ほどの平均と桁が変わってくる。0.188%となると1BTC=100万円に対して、1880円程度となり急変で売ろうと思ったら、もうすでにその価格帯ではなかったということもあるかもしれない。

まして、急変時は取引所サーバーの処理能力を限界まで使ってしまい、さらに遅れが大きくなることもある。

また、取引高もこのように真のデータと比べると当然小さくなり、平均的には92%程度と、8%程観測できていないことになる。

取引高の変化率

以上データ配信の遅れについて、少々考えてみたが、実際は発注の遅れ、発注されたかどうか確認の遅れなども存在するだろう。

シミュレーションの中ではデータに遅延がないものとして利益を考えるが、実際にはこのように遅れによって情報はどんどん欠落してしまい、高度になんらかの優位性を見出したとしても、それを利益に変えることが難しいこともあるだろう。

遅延がない環境は実際に存在しないということを肝に銘じる必要がある。

発注等の遅れについては、またの機会に考えてみたい。