移動平均線の例

移動平均とは、最も基礎的な指標として、様々な相場解説本や相場解説サイトで紹介されている。

しかし、一体なぜ使うのか?それを解説しているのは少ないように思える。ここでは、私の独断と偏見による移動平均の解釈を紹介しようと思う。

以下、移動平均の中でも最もよく使われる単純移動平均線についてのお話しとする。

移動平均をなぜ使う?

移動平均とは、デジタル信号処理におけるフィルターの一種で、高域の周波数をカットする目的で使う。

なぜ高域をカットする必要があるのだろうか?これは、雑な取引は短時間で起こりやすく、それをなるべく取り除いた形で相場を見たいからだろう。

雑な取引
雑な取引

一つ一つの取引は、全体的流れによって発生することもあるが、個別の理由で発生していることも多い。

例えば、損が膨らんで不安だから自分のポジションをすぐに解消したい。そろそろ寝る時間だからポジションを解消したい。給料が入ったからポジションを取りたい。などなど様々な理由があるだろう。

そのような個別の取引は雑になりやすく、また、どのような時間順で発生するかは予想不可能だ。あくまで個々人のメンタル・掛け金・生活等の話だからだ。

移動平均は、ある時間幅においてその平均値を出すだけだ。ある一定区間における価格の発生順を無視し、それらを等価にとらえ、買いによる雑さと売りによる雑さを相殺することで、全体的流れを見ようとするために導き出す。

フィルターの一種

移動平均のフィルター
移動平均のフィルター

移動平均は、最も単純なフィルターではある。複雑なフィルターではこれが非線形になったり、学習により最適なパラメータを求めたりという話ではあるが、それらもフィルター以上のものではないだろう。そういう意味で、様々目にする指標も、本質的には移動平均をアレンジしたものであることが多い。

複雑な非線形フィルターは、相場でオーバーフィッティングを起こしやすい。雑な取引にあたかも法則性があるかのようにフィルターを設計してしまうと、バックテスト上では大きな利益が計算できても、実践的には役に立たないものとなりがちである。

なお、過去の取引履歴以外の情報を組み入れることによって、フィルターの守備範囲はどこまでも広くなるが、これはまた別の機会に。

遅れとノイズ除去のトレードオフ

先にフィルターの一種と書いたが、フィルターには必ず遅れが発生する。フィルターをどのぐらい時間幅で使うか、どのぐらいの精密さに使うかによってその遅れ時間は変わる。

移動平均の遅れ
移動平均の遅れ

通常は、フィルターの時間幅を大きくするほど、雑な取引が除去される。その反面、遅れが大きくなり利益が発生しそうな場面を逃してしまうことが多くなる。つまり、必要以上に雑な取引を除去してしまった結果、全体的流れまで除去してしまうこともある。

自己のポジションサイズや相場への時間的関与度合などにもよるが、遅れとノイズ除去のトレードオフの最もよい時間幅を利用するのが、移動平均をうまく使う方法だろう。

さて、移動平均を利用した取引で有名なものといえば、ゴールデンクロス・デッドクロス戦略であるが、こちらもまたの機会に解説しようかと。